米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が、18日に米国債の長期格付けの見通しを「安定的」から「ネガティブ(弱含み)」に修正したと発表した。S&Pが米国債の長期格付け見通しを引き下げるのは初めてである。格付け自体は、「トリプルA」のまま現状維持だが、今回の「ネガティブ」は、格付けを2年以内に引き下げる可能性が3分の1以上あることを示している。
オバマ米大統領は12年間で約4兆ドルの財政赤字削減を目指す計画を、13日に発表したばかりである。米長期格付け見通し引き下げの背景には、米国の巨額赤字と政府債務の増加である。2011年会計年度(2010年10月~2011年9月)の財政赤字は史上最悪の1兆6000億ドル超えとなり、12年度も1兆ドル以上の赤字が見込まれている。オバマ政権の予測では、2012年~21年度までの米累積赤字は7兆ドルに上る見通しである。今後の米政府債の借り換えや新規発行を考慮すると一段と増える傾向にある。
また、下院では過半数を握る共和党が来年秋の大統領選を睨み「政府の無駄使い」への批判を先行させ、オバマ大統領の財政再建案にも歳出削減が甘いとして猛反発している。5月には財政再建を巡る与野党の超党派協議に入る予定だが、両党での合意が出来るか不透明である。米財政への市場の強い不信感と、財政再建を巡るオバマ政権と野党共和党の対立で赤字削減の実行が疑われているのである。
ただ、ガイトナー米財務長官は、「米政府や議会が意見の対立を解消し、過去最大となっている財政赤字の縮小および債務削減の長期的な計画に向けて前進すると確信している」と述べ、「我々には、向こう2ヶ月間で大きく進展する機会がある」とも発言している。S&Pがネガティブへ修正したことに対しても、海外の米国債の買い手を安心させる必要は「全く」なかったと強気の説明をし、米国は「AAA」格付けを「必ず」維持すると言明した。
オバマ大統領と議会が実効性のある財政再建計画を早期に提出できなければ、格付け自体の引き下げや財政赤字の拡大で、金融市場の不安は増幅され米国のトリプル安(株安、債券安、米ドル安)の可能性が高まることになる。
※備考
格付け会社とは、国債や企業の発行する債券の格付けを行い、投資家に投資リスクを判断するための情報を提供する会社。1990年代半ばに米国で始まった。米国スタンダード・アンド・プアーズ社(S&P)、ムーディーズ社(Moody’s Corporation)、米英系フィッチ‐レーティングス(Fitch Ratings)が大手。
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参考サイト:iPhoneアプリLife